SP16 リポイド肺炎
- 肺の病気
病態と定義
リポイド肺炎は脂質を貪食したマクロファージが肺胞腔内に出現することを特徴とする肺炎である。油脂類の吸入後生じる外因性(Exogenous Lipoid Pneumonia ;ELP)と、吸入とは関係せず様々な疾患に付随して生じる内因性(Endogenous Lipoid Pneumonia ;EnLP)とに分類される1。脂質性肺炎(Lipid pneumonia)2は同義である。吸引された油脂類の刺激により、初期はフィブリンを含む漿液性滲出液、白血球浸潤が生じる。これらはその後、泡沫状マクロファージ(脂質を貪食したマクロファージ)や巨細胞に置換され、肺胞腔内を満たす。泡沫細胞が小葉間隔壁や気管支周囲のリンパ管に出現すると、これらの部位に線維化が始まる2,3。非特異的な傷害を受けた肺胞上皮細胞やII型肺胞上皮細胞は、コレステロールやコレステロールエステルを豊富に含有するサーファクタントを肺胞腔内に放出する。これらの処理に肺胞マクロファージが動員され、泡沫状マクロファージとして肺胞内に蓄積する。泡沫状マクロファージが変性すると細胞内のコレステロールは細胞外に放出され、組織に対して刺激性となり、多核巨細胞の形成や肺胞壁の線維化を促進する2,3。