犬・猫の呼吸器病

SP15 慢性好酸球性肺炎

  • 肺の病気

病態と定義

好酸球性肺炎は肺実質に好酸球が浸潤する間質性肺疾患である1。原因不明の好酸球性肺炎は急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎に分類され2、人では少なくとも1ヶ月以上の経過をとるものを慢性好酸球性肺炎とするが3、犬・猫における明確な基準はない。犬における慢性好酸球性肺炎(Chronic Eosinophilic Pneumonia:CEP)は好酸球性肺浸潤症候群(Pulmonary Infiltrates with eosinophils:PIE)として以前より報告されている4。人では再発しやすく臨床経過が長期にわたる病態を示す2。気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid :BALF)中の好酸球比率増加が診断に有用であり、ステロイド療法に反応する。猫における一般的な好酸球性疾患は猫喘息(48項参照)だが、寄生虫感染により肺好酸球性肉芽腫症を生じることがある5

 

*参考:人におけるCEPの診断基準(望月らの基準)6(表)

1ヶ月以上持続する臨床症状と胸部陰影よりCEPが疑われ、感染症などの他疾患が否定され、さらに原因が判明した好酸球生肺炎を除外した症例の中で以下の1)~3)のいずれかを満たす症例をCEPとする
1)VATSあるいは開胸肺生検でCEPと診断
2)BALFあるいは末梢血の好酸球が30%以上
3)以下のa)b)c)にうち2つ以上を満たす
 (a)TBLBで好酸球が多い
 (b)BALFの好酸球が10%以上
 (c)末梢血の好酸球が6%以上

 

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