U21 急性咽頭炎
- 咽頭の病気
病態と定義
急性咽頭炎は口咽頭および鼻咽頭における急性炎症を示す疾患の総称である(図1)。ギャギングやレッチングを典型症状とし、様々な鑑別疾患をもつ便宜的な疾患名と言える(図2)。ギャギングは舌根部、咽頭背壁、口蓋扁桃部を刺激して生じる絞扼反射である1。咽頭反射や催吐反射とも呼ばれ、慣用的には「えずき」と表現される(動画1)。レッチングは厳密には嘔吐の一過程(悪心→レッチング→吐出)である。嘔吐中枢を刺激することで悪心から始まるが、吐物が生じない吐き出す仕草のみのことをいい1、嘔吐反射や「空嘔吐」とも呼ばれる(動画2)。結果として、どちらも逆蠕動が生じ区別は困難であるので、ギャギング/レッチングと表現されることがある。急性炎症は通常2-5日間持続し、その後1週間程度で回復に向かう2。多くは急性咽喉頭炎として現れる。嚥下時の咽頭痛は2週間ほど続く2。急性咽頭炎はウイルス感染における典型的な兆候で、痛みと発熱を特徴とする2。急性咽頭炎は上気道炎から二次的に波及して生じることもある。また、特に猫では 耳管を経て急性中耳炎を併発することがある3。口腔・咽頭内異物による刺傷から急性に生じることもある2,4。
図1 ギャギング/レッチングを示す場合の粘膜病変部位
図2 ギャギングから疑われる鑑別疾患。文献1、p127,Figure36-1より引用、改変。