SP35 好酸球性気管支肺症
- 気管支の病気
- 肺の病気
病態と定義
主に気管支病変に着目した犬の亜急性〜慢性の好酸球性肺疾患であり1、ヒトの好酸球性気管支炎(EB)と特発性慢性好酸球性肺炎(ICEP)が混合した病態である(図1)2。ヒトのEBは気管支における好酸球の増加が認められるが、気道閉塞はなく、正常な気道反射があり、ステロイドによって咳を軽減することが可能な疾患である3。一方、ヒトのICEPは慢性の咳、呼吸困難、無力症、肺胞における好酸球の増加、ならびに画像診断において末梢肺胞浸潤影を特徴とする原因不明で稀な疾患である。この疾患もステロイドに高い感受性を示すが、投薬の漸減時や中止後に再発することが多いとされている4。犬におけるEBPの病変は主に気管支に存在するが、肺実質のみに存在する場合もあるため、ヒトのEBとICEPが混合したような病態と言える2。肺炎を伴えば古典的な好酸球性肺浸潤(PIE)症候群と同義である。本疾患は古典的概念である好酸球性肺浸潤(PIE)症候群の中に含まれ、同じくPIE症候群に含まれる肺好酸球性肉芽腫症や急性好酸球性肺炎とは区別されるが、慢性好酸球性肺炎との区別は明確ではない1。
図1 好酸球性気管支肺症(EBP)の概念。EBPは、古典的概念であるPIE症候群の中に含まれ、おなじくPIE症候群に含まれる好酸球性肉芽腫や急性好酸球性肺炎とは区別されるが、慢性好酸球性肺炎との区別は明確ではない。