SP33 気管支拡張症
- 気管支の病気
病態と定義
気管支拡張症は気管支の慢性的な異常な拡張および屈曲により気管支壁を構成する弾性及び筋肉の病理学的破壊と定義されている1。人において気管支拡張症は気管支の何らかの原因によって不可逆性の拡張をきたした状態であり、疾患名ではなく症候群とされている2。人、犬、猫において後天性、先天性の様々な状況で慢性的な気道炎症や感染から起こり結果として気管支壁の変化が起きる3-7。気管支上皮細胞への障害は粘膜線機構の消失を起こし、末梢気道の粘液や浸出液、病原菌の貯留につながる。これにより感染が起きることでエステラーゼなどのリソソーム酵素が他の炎症細胞の誘因、活性化を引き起こし、さらに炎症反応を誘発するため悪循環が起こる1,3-10(図1)。人と同様に犬においても気管支の可逆的な拡張は真の気管支拡張症と区別されなければならず、真の気管支拡張症は不可逆的な気管支の拡張である1,11。したがって、気管支拡張症の鑑別診断には、拡張した気道が確認もしくは散見されなければならず、さらに気管支拡張症を進行させている基礎疾患を判断しなければならない12。
図1 気管支拡張症の病態。