SP14 急性好酸球性肺炎
- 肺の病気
病態と定義
1952年にReederらは、末梢血好酸球増多を伴い、肺浸潤影を呈する疾患を“好酸球性肺浸潤症候群(Pulmonary Infiltrates with eosinophils:PIE 症候群)”として提唱した1。1969年にLiebowとCarringtonは、末梢血の好酸球増多の有無にかかわらず肺組織に好酸球浸潤のあるものを“好酸球性肺炎“とし2、1989年Fraserらは原因不明の疾患と原因が特定できる疾患とに区別する“好酸球性肺疾患”の分類を作成した3,4(図1)。 急性好酸球性肺炎(Acute Eosinophilic Pneumonia:AEP)は人において1989年にAllenらによって提唱された疾患であり、急性発症、重度呼吸不全を呈するが予後良好な疾患である5。慢性好酸球性肺炎(Chronic Eosinophilic Pneumonia:CEP)(SP15参照)とは経過以外にも、発症傾向、病理組織像、重症度、再発率などに差異があり、AEPとCEPは異なる疾患であると考えられている6,7。犬、猫においてはほとんど報告されていない8。気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid :BALF)中の好酸球比率増加が診断に有用であり、ステロイド療法に良好に反応する9。
図1 好酸球性肺疾患の構成。文献5に、獣医領域の好酸球性気管支肺症(L13、SP35)の概念を加えて作成した。
*参考:人におけるAEPの診断基準(Allenらの基準)5(表)
発熱を伴う急性呼吸器症状(1週間以内) |
両側肺野のびまん性浸潤影 |
低酸素血症(PaO2<60mmHgまたはP/F<300mmHg) |
BALF中好酸球比率≧25%、または肺生検における著明な好酸球浸潤 |
好酸球増多を来す他の疾患の除外(寄生虫、真菌感染、薬剤など) |