SP07 末梢気道病変/閉塞性細気管支炎
- 気管支の病気
- 肺の病気
病態と定義
末梢気道病変とは何らかの原因で末梢気道が閉塞、狭窄し気流制限を生じる病態である(図1)。気流制限の機序には気管支内の過量の分泌物、気道壁の肥厚、肺実質の破壊による細気管支を拡張する支持力の低下に伴う細気管支の虚脱があり、これらが単独または複合的に生じることで呼気努力や動脈血ガス分析での高炭酸ガス血症が生じる。末梢気道病変として獣医療では古くから閉塞性細気管支炎1(Bronchiolitis obliterans :BO)が知られている。BOとは慢性的な細気管支上皮の傷害により結合組織による線維性ポリープの形成、または線維化/瘢痕化により、管腔内を部分的または完全に閉塞し、呼吸困難を生じる疾患である2。前者は「細気管支内腔へ肉芽組織が突出する病変(Polypoid bronchiolitis obliterans:PBO)」、後者は「瘢痕化により細気管支が閉塞性に破壊される病変(Constrictive bronchiolitis obliterans :CBO)」として区別される3,4。気管支内腔への器質化組織のポリープ様の突出が肺胞にまで進展し、器質化肺炎を示すものを「器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎(Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia:BOOP)」と呼ぶ。近年、人医療ではBOOPは特発性間質性肺炎(IIPs)の特発性器質化肺炎(Cryptogenic organizing pneumonia:COP)に包括された5。犬では呼吸細気管支がよく発達していることが知られており、BOOPでは呼吸数増加を伴う努力呼吸が認められる6,7。
図1 気流制限の機序