犬・猫の呼吸器病

SP08 心拡大・肥満・胸膜腔内容積制限効果による気管支軟化症

  • 気管支の病気

病態と定義

VHS11.4以上の心拡大では、気道感染がなく慢性痰産生咳を示すことがあり、それは多発性気管支虚脱により生じていたことが報告されている1。この現象はspace occupying effect (胸膜腔内容積制限効果:SOE)と呼ばれており1、小型犬に特徴的で大型犬には生じない。健常な小型犬では大型犬と比べて胸膜腔に占める心臓の割合がもともと大きく2、過剰に心臓が拡大すると肺拡張を制限し、結果として呼気時気管支虚脱を引き起こしていると考えられている(図1)。同様の理論で、肥満犬や肝腫大を呈する犬は腹腔内容積増加によってSOEが生じ、呼気時気管虚脱が生じる3。気管支鏡検査を行うと、吸気時に気管支が拡大するが呼気時に葉気管支レベルで虚脱する、いわゆる気管支軟化が認められる。

 

図1 小型犬などの狭い胸膜腔内では心拡大や肝腫大・肥満などによって肺が十分に拡張できず、末梢気管支が虚脱する(症例X線写真は東京農工大学獣医外科学研究室提供。画像の加工編集は、「城下幸仁. 犬・猫の呼吸器を診る(第4回) 呼気性異常呼吸音 呼気性ストライダー. SA Medicine2017;19:68-78.P72 図4」より引用、一部改変による)。

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