犬・猫の呼吸器病

L11 犬伝染性気管気管支炎

  • 気管の病気
  • 気管支の病気

病態と定義

ケンネルコフ、ケナインコフ、犬クルップとも呼ばれ、急性かつ非常に伝染力の強い犬の呼吸器疾患であり、肺炎の兆候を伴わない発作性咳を特徴とする1。近年、犬伝染性呼吸器疾患(Canine infectious respiratory disease, CIRD)2,3や犬複合伝染性呼吸器疾患(Canine infectious respiratory disease complex, CIRDC)4と総括される疾患群とはほぼ同義である。ともに急性咳が主徴で、鼻汁を伴うことがある4Bordetella bronchiseptica感染が主要な原因で、様々なウイルス、マイコプラズマ、他の細菌の重複感染によることが示され3,5,6、一般に致命症には至らない。一方で、犬ヘルペスウイルスのみで致命的な集団発生が生じたとの報告もあり7、原因や症状発現は様々である。従来、商用施設や保護施設で集団感染のリスクがあると考えられていたが、最近では大型動物診療施設内での入院動物への集団感染の報告があり7,8、本疾患の獣医療に与えるリスクが再認識されている。

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