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第21回 犬・猫の呼吸器勉強会

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第21回 犬・猫の呼吸器勉強会

日時: 令和5年6月12日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

肺の肉眼的評価と正常組織像 (15分)

三井一鬼(岡山理科大学獣医学部形態学講座)

呼吸器の評価には臨床医、画像診断医、病理医のチームプレーや相互理解が重要である。病理医の立場からは、ぜひ「興味のある臓器を取り出して検査機関に送るだけ」から進化していただきたい。剖検の際、舌~喉頭~気管~肺を一括で摘出し、縫合・清拭により違和感なく遺体の美観を保つことができる。肺の肉眼的評価のポイントには、虚脱の有無の評価、重さの判定、病変の正しい記述法(分布、サイズ、個数、触感、色、表面・割面の様子等)、無気肺の肉眼像についての知識、気胸が疑われる場合の検査法、写真撮影の基礎、細菌スワブの採取等がある。気道にホルマリンを注入することや、CT画像との対比のため肺葉を連続スライスすることも重要である。臨床医が顕微鏡像を想像しながら診察を行うことはハードルが高いが、病態把握や飼主への説明の精度が格段に上がるため、主要な組織構造・細胞について復習したい。

2 研究班報告(BAS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

短頭種気道症候群Update 2023(45分)

飯野亮太(いいのペットクリニック)

短頭種気道症候群(BAS)の外科的整復術については、従来より一次的な構造的な異常である外鼻孔狭窄および軟口蓋過長、二次的な変化である喉頭小嚢の反転に対する手術が行われてきたが、それにより十分な効果が得られない重度もしくはマルチレベルの閉塞をもつ症例もある。近年、様々な術式が報告されているが、未だに論争中である喉頭小嚢の問題も含めて個々の症例に対する最適な整復術については不明のままである。今回は最新の情報を整理し、特に2020年以降の文献より特に外科手技とその成果、周術期管理についての新たな情報についてレビューする。

3 症例報告・臨床研究  座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

1)画像検査で腫瘍と思われたが病理にて肺炎と診断された猫の1例 (20分)
稲葉健一(名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニック)

症例はアメリカンショートヘアー、14歳、去勢雄。当院来院1年前より間欠的な咳、ゴロゴロ音を認め、内科療法に反応が乏しいため紹介来院された。初診時の胸部X線検査にて左後肺野に内部に嚢胞状陰影を伴う比較的境界明瞭な腫瘤状陰影を認めた。CT検査にて左後葉に内部構造に空洞を有する腫瘤内隔壁に造影剤増強が強く見られる腫瘤、左前葉後部および右中葉に造影強調を有する結節が認められ、原発性肺腫瘍および肺内転移が疑われた。第70病日に気管支鏡検査および肺葉切除術を実施した。気管支鏡検査では気道分泌物過剰、LB2より分泌物の流出を認めた。摘出した左肺後葉の病理組織学的検査では重度の化膿性混合細胞性気管支肺炎と診断され腫瘍性疾患は否定された。切除後、ゴロゴロ音の消失、咳の減少が認められ、第180病日時点で経過良好である。画像検査にて術前診断が困難であった症例を経験したため、文献的考察を加え報告する。

2)咽頭粘液囊胞と診断した犬の4症例 (20分)
布川智範(ぬのかわ犬猫病院)

咽頭粘液嚢胞は舌下腺・下顎線から咽頭壁内に粘液性の唾液が漏出して蓄積することで形成される。下顎や頸部の唾液貯留はよく遭遇するが、咽頭への貯留は稀と報告されている。今回、2020年から呼吸器症状を主訴に当院に来院し、咽頭粘液嚢胞と診断し治療を行い経過が追跡可能であった4症例について報告する。4症例のシグナルメント・治療方法・経過を海外の既報と比較し考察する。

演題受付終了しました。次回の勉強会での発表をお願いします。

連絡事項

  1. 非会員参加の場合、原則として事前申し込みをお願いします。6月5日までに研究会事務局(jimu@verms.or.jp)にご連絡ください
  2. 開場は20:30となります。入室許可手続きがありますので入室自体はお早めにお願いします。
  3. 入室時には、Zoom参加手順の注意事項210804に従い、Zoom-ミーティングに参加する-名前を漢字(例、城下幸仁)に書き換えてから「参加」ボタンを押してください。
  4. 待機室入室後、3分以上たっても承認されない場合、お手数ですが事務局046-256-4351までお電話ください。電話にて承認手続きを行わせていただきます。
  5. 各講演内容は研究会会員にYou Tubeにて限定公開いたします。その中のコメントを介し質疑応答可能です。
  6. 開催中、質問者は円滑な議論のためビデオオンでお願いします。
  7. 閉会後、同一会場にて23:15から歓談や飲食しながら討論会を60分程度設けます。参加や退出のタイミング自由です。症例相談があればデータ提示をお願いします。
  8. 勉強会の講演や議論内容は後日オンデマンド配信するため録画させていただきます。あらかじめご了承ください。演者、座長以外はビデオオフにてご参加ください。

 

第22回 犬・猫の呼吸器勉強会の予定

日時: 令和5年10月9日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催(予定)

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

内容、演者未定 (15分)

2 研究班報告(LTBS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

犬・猫の気道異物について文献レビュー(45分)

菅沼鉄平(ほさか動物病院)

3 症例報告・臨床研究  座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

演題募集中。2演題(各20分)まで。演題タイトルの締切は9月9日(土)となります。演題名、発表者名、所属を事務局(jimu@verms.or.jp)に連絡ください。発表者は会員である必要がありますが、共同発表者はその限りではありません。募集要項は以下の通りです。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

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