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第20回 犬・猫の呼吸器勉強会

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第20回 犬・猫の呼吸器勉強会

日時: 令和5年4月10日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

咳と心臓病についてPart2   心臓喘息の治療 (15分)

青木卓磨(麻布大学 小動物外科学研究室 准教授)

僧帽弁粘液腫様変性疾患による心臓喘息は、重篤な左心拡大、特に左房サイズ/圧に比例して生じる咳や呼気努力であり、単独で発症している場合は外科的根治術後には完治する。一方で、獣医療では内科的に管理する場合が一般的であるが、この場合、左房サイズ/圧を低下させる目的で、高用量の強心薬や降圧剤、利尿剤を使用する。著者はstage B2が進行した状態で、強心薬の強化や降圧剤で心臓喘息が軽減しない場合は、利尿薬を開始することもある。Stage C以降においても高窒素血症に注意しながら、同様の治療を行う。一方で、呼吸器疾患の併発が疑診される場合、麻酔下での呼吸器検査を実施すべきであるが、飼い主の同意が得られないことも多い。この場合、試験的に抗生物質治療を行い、治療応答を確認することもある。それでも咳が管理できない場合は鎮咳剤を使用する。今回、著者の経験を踏まえ、心臓喘息における咳の管理についてお話ししたい。

2 研究班報告(FDLD班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

猫の特発性肺線維症に関する文献レビュー -それは果たしてIPFなのか- (45分)

近藤絵里子(品川WAFどうぶつ病院)

猫の特発性肺線維症をキーワードとして検索し、今回10文献が調査対象となりレビューを行った。その結果、いまだコンセンサスの得られた見解は見出せず、さらに人のIPFの定義に照らすと、猫では臨床像が一致しなかった。これは猫のIPF様疾患が、病理像に重点をおいて定義づけされたためと思われる。近年、獣医学においてIPFという語の適用は再検討されており、今回、その点について考察した。ヒト医学では、特発性肺線維症を含む間質性肺疾患の体系は、臨床、病理、画像の情報を長年積み上げてきた結果で成り立っている。猫の間質性肺疾患についても、臨床、病理、画像情報をバランスよく蓄積したうえで分類や特徴付けが必要で、そうすればより合理的に猫の病態を把握でき、適切な治療法を見出すことができるかもしれない。

3 症例報告・臨床研究  座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

エピネフリンのネブライザー療法と局所投与を人工呼吸管理中に加え救命し得た、急性呼吸困難を示したフレンチブルの1例  (20分)

平林雅和(オールペットクリニック)

症例は、フレンチ・ブルドック、避妊雌、6歳、体重14.0kg。一年前の来院時には、BCS8/9の肥満、日常的にスターター、興奮時ストライダー、運動不耐性、BAS臨床グレード2.0の短頭種気道症候群を示していた。今回、急性呼吸困難を呈し緊急受診があり、流涎、チアノーゼ、ゼロゼロ音、重度な努力呼吸、低酸素血症(PaO2 64mmHg)を示し、胸部X線検査にて非心原性肺水腫も疑われ、緊急気管挿管しプロポフォール持続点滴および陽圧呼吸管理を開始した。挿管時に軟口蓋および咽喉頭部の重度の浮腫を認めた。局所麻酔薬とエピネフリンの塗布及び複数回のネブライザー療法を実施したところ、7時間後に危機的状況を回避し抜管可能となり第4病日に血液ガスと胸部X線検査所見は改善し、退院に至った。エピネフリンの咽喉頭粘膜の腫脹除去・分泌物除去効果について文献を含め考察する。

演題募集は終了しました。

連絡事項

  1. 非会員参加の場合、原則として事前申し込みをお願いします。4月3日までに研究会事務局(jimu@verms.or.jp)にご連絡ください
  2. 開場は20:30となります。入室許可手続きがありますので入室自体はお早めにお願いします。
  3. 入室時には、Zoom参加手順の注意事項210804に従い、Zoom-ミーティングに参加する-名前を漢字(例、城下幸仁)に書き換えてから「参加」ボタンを押してください。
  4. 待機室入室後、3分以上たっても承認されない場合、お手数ですが事務局046-256-4351までお電話ください。電話にて承認手続きを行わせていただきます。
  5. 各講演内容は研究会会員にYou Tubeにて限定公開いたします。その中のコメントを介し質疑応答可能です。
  6. 開催中、質問者は円滑な議論のためビデオオンでお願いします。
  7. 閉会後、同一会場にて23:15から歓談や飲食しながら討論会を60分程度設けます。参加や退出のタイミング自由です。症例相談があればデータ提示をお願いします。
  8. 勉強会の講演や議論内容は後日オンデマンド配信するため録画させていただきます。あらかじめご了承ください。演者、座長以外はビデオオフにてご参加ください。

 

第21回 犬・猫の呼吸器勉強会のご案内

日時: 令和5年6月12日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

呼吸器系臓器・病変の肉眼的評価と採材のコツ (15分)

三井一鬼(岡山理科大学獣医学部形態学講座助教)

2 研究班報告(BAS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

短頭種気道症候群Update 2023(45分)

飯野亮太(いいのペットクリニック)

3 症例報告・臨床研究  座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

演題募集中。2演題(各20分)まで。演題タイトルの締切は5月12日(金)となります。演題名、発表者名、所属を事務局(jimu@verms.or.jp)に連絡ください。発表者は会員である必要がありますが、共同発表者はその限りではありません。募集要項は以下の通りです。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

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