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第14回 犬・猫の呼吸器勉強会

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第14回 犬・猫の呼吸器勉強会のお知らせ 

日時: 令和4年2月14日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器総論   座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

犬・猫の呼吸器疾患へのアプローチⅢ 身体検査(視診、聴診、触診、打診)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

10年以上呼吸器専門診療を継続してきた経験に準じて作成した犬・猫の呼吸器科の診療データベースのシートを用い、麻酔を行わない一次検査の手順による診断アプローチを紹介し、今後当研究会での呼吸器診療の診療基準の試案を検討していく。前回に引き続き、身体検査(視診、聴診、触診、打診)の手順について紹介する。今回は、研究会で提案された咳の分類について解説する。

2 研究班報告(LTBS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

犬・猫における気管内ステント留置の適応と禁忌、術式、管理、合併症

菅沼鉄平(ほさか動物病院)

気管内ステント留置は透視ガイド下に行うカテーテル治療であり、設置は迅速で,侵襲なく,初期改善率が高いため麻酔リスクのある症例にも適用可能で安全かつ確実に気道の安定化を図ることができる。獣医療では2007年に犬気管用のニチノール製自己拡張型ステントが米国にて承認され、犬で適用が広まりつつある。しかし、人医療では手技の容易さから不用意な患者選択による自己拡張型ステントの使用により,関連する合併症の頻発が問題となり、適用を最大限制限するように2005年にFDA(米国食品医薬品局)から警告が出されていた。必ずしも人医と同一視すべきではないが、獣医療でも同様の問題が生じる懸念があり、今回過去の気管内ステントに関する報告をまとめ当研究会での気管内ステント留置の適応などに関する議論の題材となればと考え、気管内ステント留置に対する適応、禁忌、ステント選択、設置方法、合併症について文献調査を行った。

3 症例報告・臨床研究  座長:上田一徳(横浜山手犬猫医療センター)

1. 3頭の犬の肺出血を伴う非異状・非外傷性急死例

三井一鬼(ノーバウンダリーズ動物病理)

肺胞に赤血球が遊離している状態を肺出血と称し、原因、程度、臨床的意義は様々である。2012~2018年にノーバウンダリーズ動物病理で死後検査を実施した症例に、予期せず突然に死亡し肺出血を認めた犬3頭が含まれていた。死因と肺出血の原因を明らかにし、これらに関連があるかを調べる目的で検索を行った。生前の情報、剖検、細菌培養、組織病理学、組織化学(Gram、PAS、PTAH染色)、PCRにより、推定ながら各症例の死因(びまん性肺胞傷害、急性肺水腫、気管虚脱)と肺出血の原因(敗血症、突発的な不整脈、気管虚脱)を明らかにした。2症例において、死因と肺出血の原因との間に関連があると推定された。この結果は、肺出血の原因検索には多大な労力を必要とすることや、肺出血巣と他の臓器の異常を仔細に調べることで、肺出血を特徴とする新規動物疾患やヒト疾患のモデル動物が発見される可能性を示唆している。

2. 左心房拡大による左主気管支の圧迫に対し左主気管支にステント留置を試み術後6年半生存した犬の1例

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

気管支ステント留置の報告は少ない。症例は、マルチーズ、去勢雄、8歳、体重4.98kg。1.5ヶ月前より僧帽弁閉鎖不全症の治療を開始し、1ヶ月前から利尿剤投与も終日咳が止まらず、当院に来院。Levine5/6の心雑音あり、胸部X線検査、超音波検査、気管支鏡検査にて左心房拡大による左主気管支の圧迫と診断し、気管支ステントサイズを直径10mm×長さ17mmと計算した。第63病日、左主気管支に自己拡張型Nitinolステントを留置した。5日後、咳再発。第76病日麻布大学循環器科受診し心原性肺水腫と判明し、フロセミド2.2mg/kg TIDなどの心不全治療が開始された。以降、一般医、循環器科、呼吸器科で経過観察し、第209病日に咳は許容範囲となった。第1077病日に努力呼吸あり、ステント後方移動、気管支屈曲、気道内感染が判明し、直径10mm×32mmのステントを追加留置にて左主気管支の気道を安定化させ症状は安定した。その後、第2349病日(6年半)に老衰にて自宅で息を引き取るまで許容状態を維持した。

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