犬・猫の呼吸器病

U31 慢性喉頭炎

  • 喉頭の病気

病態と定義

犬では2ヶ月以上の喉頭咳やレッチング、猫では1ヶ月以上の両相性異常呼吸音や吸気努力や嗄声や喉頭性咳などの症状を示し、腫瘍や特発性喉頭麻痺などの機能異常を除外する。喉頭粘膜表面には咳受容体(急速適応受容体)が密に分布し、粘膜接触、異物、粘液などの機械的刺激に特に感受性が高く、刺激があれば、吸気動作なくただちに咳(呼気反射)が生じる1。犬では喉頭の器質的変化を伴わず慢性喉頭炎徴候を示すことが多く、環境由来による感受性亢進のみならず、鼻腔・副鼻腔(後鼻漏など)、咽頭(咽頭背壁余剰や慢性咽頭炎など)、消化器疾患(胃食道逆流など)に関連する。上気道症状ない下気道疾患により2週間以上続く咳を示した犬では、最終診断に関わらず54%(73/134)にて喉頭の発赤が認められ、さらに19%(26/134)に喉頭不全麻痺/麻痺が認められた2。したがって犬では慢性咳嗽自体が、慢性喉頭炎や喉頭の機能変化を引き起こしている可能性もあり、慢性喉頭炎だけでは咳の説明としては不十分である。犬ではもっとも多く診断される呼吸器疾患名であるが、除外診断を必須とする。一方、猫の慢性喉頭炎徴候は、喉頭の器質変化を伴うことが多い。そのため、腫瘍や特発性喉頭麻痺が除外された猫の喉頭の炎症性疾患は「猫の炎症性喉頭疾患(Feline Inflammatory laryngeal disease:ILD)」と総称されている3-8

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