U23 フェノバルビタール反応性唾液腺症
- 咽頭の病気
病態と定義
フェノバルビタール投与に速やかかつ劇的な反応を示す原因不明の唾液腺疾患である1。有痛性の両側下顎腺の腫大を特徴とし、流涎、レッチング、ギャギング、吐出、嘔吐などの咽頭炎症状がある2。下顎腺の両側性腫大は必発ではない。下顎腺の循環障害による壊死が認められ、ヒトの壊死性唾液腺化生とも組織所見が似ていたことから同名でも呼ばれていたが2-4、ヒトでは好発部位が硬口蓋などの小唾液腺であり、無痛性、無治療で自然寛解することが異なる5,6。また、犬ではこれらの腫大した唾液腺は組織学的に異常を示さないこともある7,8。臨床症状は流涎や嘔吐、食欲不振などの消化器疾患を疑わせるものから、呼吸困難や咳など呼吸器疾患を疑わせるものまで幅広く、これらの症状は制吐剤や消炎剤、その他の支持療法への反応に乏しい。