U12 短頭種気道症候群
- 咽頭の病気
病態と定義
短頭犬種における外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、気管形成不全、鼻道の解剖学的構造などにより、スターター、ストライダー、いびき、努力呼吸、失神、睡眠呼吸障害などの上気道閉塞を示す症候群である1,2。持続的な気道抵抗が喉頭虚脱や喉頭小嚢反転などの二次的な変化を引き起こす。非短頭種に比べ咽頭気道が著しく狭くなっており(図1)、暑熱環境にてすぐに開口呼吸し、また呼気による効率的な熱放散ができないため熱中症に陥りやすい3。長期間上気道閉塞が持続すると、覚醒時でも低酸素血症、高炭酸ガス血症の進行、睡眠時無呼吸を呈するようになる1。これらは喉頭虚脱の重症化2,3、咽頭気道への軟部組織増加1、咽頭拡張筋群(胸骨舌骨筋やオトガイ舌筋など)の経年負荷による代償破綻1などが原因と考えられている。修復可能な時期に早期の治療介入が望まれる2。
図1 短頭種(フレンチブル)は非短頭種(シベリアンハスキー)に比べ、咽頭気道が狭い。
<ブルドッグの睡眠時無呼吸の自然経過1>
〜2週齢 | 睡眠時無呼吸なし |
6〜12週齢 | 覚醒時も睡眠時も無呼吸症状あり |
16週〜4歳齢 | REM睡眠時のみに無呼吸症状あり |
4 歳齢〜 | 運動不耐性や失神などの代償不全兆候あり |
6〜7歳齢 | non-REM睡眠時に低酸素血症、呼吸/循環不全あり |
8歳齢〜 | 突然死の自然発症あり |