犬・猫の呼吸器病

U10 真菌性鼻炎

  • 鼻の病気

病態と定義

慢性の粘液膿性鼻汁、くしゃみ、鼻出血、鼻痛、鼻の潰瘍、沈鬱、食欲減退などを主な所見とする鼻腔から副鼻腔にかけて生じる真菌感染症である。犬では土壌に存在するアスペルギルス(Aspergillus fumigatus)、猫では鳩の糞便や土壌、植物の表面などに存在するクリプトコッカス(Cryptococcus neoformans)が主な病原体である1

猫のクリプトコッカス症には鼻型、中枢神経型、皮膚型、全身型といった臨床型が存在する。鼻型では片側性あるいは両側性の慢性鼻汁、くしゃみ、顔面の腫脹、鼻の潰瘍、下顎リンパ節の腫脹、食欲減退、体重減少などが認められる。場合によっては、鼻腔からの肉塊の突出や、鼻咽頭肉芽腫によるスターター、呼吸困難、開口呼吸などが認められる。口腔内および咽頭内の増殖性あるいは潰瘍性病変が生じることもある。下気道疾患として肺結節、縦隔結節が認められることもある2。中枢神経型では篩板を超えて病変が中枢神経へ波及した場合、発作や行動の変化とともに視神経炎による失明などが生じる。その他、血行性に播種し、肉芽腫性脳脊髄炎を生じる場合もある2。皮膚型では真皮から皮下に結節性病変が認められる。通常痛みや痒みはなく、局所リンパ節の腫脹を伴う2。全身型では血行性の播種により、ぶどう膜炎、脈絡網膜炎、骨髄炎、多発性関節炎、全身性リンパ節炎、腎臓を含む多臓器病変が認められる。全身型のクリプトコッカス症が鼻型から播種して生じるのかは不明である2

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