犬・猫の呼吸器病

SP34 下気道感染症

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病態と定義

下気道感染症(Lower Respiratory Tract Infection:LRTI)とは、呼吸器感染症のうち、気管から細気管支までの細菌感染症である。気管以下は線毛輸送系があり、本来無菌に保たれている。厳密には肺炎とは区別されるが、獣医学では細菌性気管支肺炎が含まれる1,2。胸部X線検査にて両側性に浸潤が生じるほど肺炎が確認されれば、細菌性肺炎(SP31)を参照されたい。ヒトでは、経過8週以内の急性LRTIと、8週以上の慢性LRTIに分けられ、特に後者は、気管支拡張症など下気道の器質変化を伴うものや宿主の免疫力低下などによる慢性持続感染による3。動物では喀痰採取が困難なので、確定診断は気管支鏡検査下でのBALF検体の培養検査がgold standardとなる1,2。しかし、特に急性LRTIには気管支鏡検査を適用することは困難である。そこで、2017年に国際コンパニオンアニマル感染症学会(www.iscaid.org)にて犬や猫の気道疾患に対する抗菌剤の適切な使用法を推奨するガイドラインが作成され4(以下、ガイドライン)、急性気道感染症を疑う場合の抗菌剤の選択や、培養検査結果判明までの対処法について提言がなされている。本項のLRTIは、ガイドラインのBacterial BronchitisとPneumoniaのカテゴリーと一部重複する。また原因菌によっては(とくに、Bordetella bronchiseptica)は感染力が強く、罹患動物の治療とともに周囲への伝播への影響を最小限にする配慮(隔離や在宅治療を行うなど)も必要となる。

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