犬・猫の呼吸器病

SP30 肺高血圧症

  • 肺の病気

病態と定義

肺高血圧症(PH: pulmonary hypertension)は肺血管内圧の異常に上昇した状態(人:安静時平均肺動脈圧≧25 mmHg)と定義されており、心血管疾患・呼吸器疾患・全身性疾患で認められる。PHの発症は肺血流の増加、肺血管抵抗の増加、肺静脈圧の増加、またはそれらのいくつかの組み合わせに起因する(図1)。肺血流の増加または肺静脈圧の増加は、肺動脈血管収縮、肺血管疾患/リモデリング、またはその両方による肺血管抵抗の増加につながる可能性がある。PHが発症し持続すると右心負荷が増大し、最終的に右心機能不全へと移行し、右心不全徴候、循環器性ショックを起こし死亡する。現在獣医療で報告されているPHは6つに分類されており、犬ではコンセンサスステートメントが報告されている1

図1 肺高血圧症の病態について。肺高血圧症は肺動脈圧の上昇と定義されており、肺血管内圧の上昇は肺血流の増加、肺血管抵抗の増加および肺静脈圧の上昇の単独あるいは複数の原因によって起こる。さらにこれらの要因は相互作用があり、肺血流の増加や肺静脈圧の上昇は肺動脈の血管収縮、肺血管疾患および肺血管のリモデリングを起こし、結果として肺血管抵抗が増加する。慢性PHでは右心系に負荷を与え、右心不全をきたし、心拍出量が低下することで死亡する(VC: 後大静脈、RA: 右心房、RV: 右心房、PA: 肺動脈、PC: 肺毛細血管、PV: 肺静脈、LA: 左心房、LV: 左心室、AO: 大動脈、ASD: 心房中隔欠損症、VSD: 心室中隔欠損症、PDA: 動脈管開存症)。文献1より引用、一部改変。

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