犬・猫の呼吸器病

SP26 無気肺と肺葉硬化像

  • 肺の病気

病態と定義

無気肺も肺葉硬化も画像所見であり、何らかの基礎疾患によって肺に含気ない状態あるいは部分的に含気のない状態に対して用いられる。ただし、前者は肺容積減少、後者は肺容積不変または増加している1。それぞれ浸潤影のパターンのひとつであるが、両者をまとめて無気肺と記述している場合もあり2、混同を避けるため図1に分類の概念を示した。

無気肺は、気道の閉塞、肺の圧迫、サーファクタント欠乏または不足によって生じ、肺組織自体には問題はないものを指す1。閉塞した気道の遠位部分に閉じ込められたガスは肺循環の中に再吸収され肺胞内に空気がなくなり虚脱し、無気肺となる(吸収性無気肺)3。肺葉硬化は、吸引や感染に継発したり、虚脱した肺内へ炎症細胞が浸潤や水腫を起こしたり、肺胞の虚脱と再膨張を繰り返し肺胞内で生じる白血球の浸潤でも起きる。気管支の閉塞が数十時間に及ぶと肺胞内には多くの白血球が集積し、肺胞内は液体で満たされる。閉塞後に炎症細胞によって満たされた状態を閉塞性肺炎ともいう4。右肺または左肺全葉に無気肺や硬化病変が生じた場合は、右(完全)無気肺または左(完全)無気肺と呼ばれる。無気肺や肺葉硬化は換気(V)と血流(Q)の不均衡が起こり換気血流比不均等(V/Qミスマッチ)、すなわち低V/Q(肺毛細管シャント)を引き起こし、低酸素血症が進行する(図2)。

図1 浸潤影、無気肺、肺葉硬化の概念

図2 肺毛細管シャント。総論図8 肺でのガス交換を概念的に示した模式図を参照

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