SP24 非心原性肺水腫
- 肺の病気
病態と定義
肺水腫はその発症機序から心原性と非心原性に大別され、非心原性肺水腫はさらにARDSとそれ以外に分けられる(図1)。肺毛細血管における体液移動は改訂スターリング式で規定されている(図2)。その概念図を図3に引用した。そのため、心不全や過剰輸液による静水圧較差の上昇や、タンパク漏出性疾患、肝不全等による膠質浸透圧較差の上昇は、肺毛細血管-間質内圧較差の開大に寄与し、圧上昇型肺水腫を惹起する。一方で、肺炎や外傷などによる直接的な肺胞障害、または敗血症、重症膵炎などによる間接的な肺胞障害によって肺血管バリアが破綻し、間質へと血液成分が漏出することで透過性亢進型肺水腫は形成される1。非心原性肺水腫は主に血管透過性亢進により発症するが、その原因により静水圧上昇に起因するものやこれらの複合の結果として発症するものがある。痙攣発作や頭部外傷、感電等に続発する神経原性肺水腫や上部気道閉塞に起因する陰圧性肺水腫は上記メカニズムの複合で発症すると考えられている2-5。
図1 びまん性肺水腫の原因疾患
図2 スターリングの法則
図3 毛細血管からの体液移動の機序。Stern SDC et al. Symptom to Diagnosis: An Evidence-Based Guide. 2nd ed.: www.accessmedicine.comより引用。