SP22 心原性肺水腫
- 肺の病気
病態と定義
肺水腫は心不全の結果であり、心不全は「なんらかの心機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴う運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義される。心原性肺水腫は、心不全により肺の血管外間隙や組織への異常な液体貯留した結果生じる。肺水腫の発生には2つの段階がみられる。第1段階は間質浮腫で、血管周囲と気管支周囲の間質組織が拡張し肺胞壁の間質の肥厚が生じ拡散障害が生じる。肺機能障害は軽度で、病変を認識するのが困難なことが多い。第2段階は肺胞浮腫で、液体が肺胞上皮を介して肺胞腔内へ漏出し、肺胞表面張力のため水腫を起こした肺胞は大きさが縮小する。換気は障害されないが、ガス交換は障害され、さらにその肺胞への血流も減少し、拡散障害と相対シャントが同時に生じるため、しばしば重度低酸素血症となる。心原性肺水腫は左心系のうっ血性心不全により左房圧が上昇し、肺静脈圧、毛細血管圧が上昇することで上記の変化が生じる1,2。