SP21 猫のブロンコレア
- 肺の病気
病態と定義
猫において慢性経過で粘稠性の低い気道分泌物過剰を示す症候群のことをいうが、下気道感染症や好酸球性肺疾患は鑑別する。気管支鏡検査にて唾液状の分泌物が末梢気道から中枢気道内に向け流出することを観察して診断する。人のブロンコレアは1日100ml以上の多量の水溶性で粘稠度が非常に低い喀痰が生じ、気管支喘息、細気管支肺胞上皮癌、転移性肺癌、有機リン系農中毒で主に生じるとされ1、状態が似ており、猫のブロンコレアの疾患名の由来となった。後向き臨床研究2にて、病理学的には気管支間質性肺疾患のカテゴリーに分類されることが示唆され、肺病理組織所見では、2004年に報告された猫の特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)3,4に相当する例も認められた。しかし、人では、通常ブロンコレアとIPFは重複しない(図1)。
図1 猫とヒトのブロンコレアの違い