犬・猫の呼吸器病

SP20 過敏性肺炎

  • 肺の病気

病態と定義

動物では報告が少なく原因や臨床像がよくわかっていないが、人では真菌胞子や細菌などの有機塵埃などの抗原の反復吸入により感作が成立し、細気管支から肺胞壁におけるⅢ型およびⅣ型アレルギー反応により発症するびまん性肉芽腫性間質性肺疾患とされている。そのため過敏性肺炎はBALF中リンパ球が著増する代表的疾患であり(>50%、正常10%程度)1、それ自体が診断に有用と考えられている1。生活環境や原因となる塵埃(抗原)の種類によって50以上の疾患が含まれ、日本では夏型過敏性肺炎、農夫肺、鳥飼病などが主とされ病態解明がなされている2。犬でホコリタケ(Puffball mushroom)の真菌胞子吸引によって発症した急性間質性肺炎が報告が散見され、これが犬の過敏性肺炎とされている3-5。いずれも吸引後比較的急性発症しており、BALF中や4,5、死後剖検にて肺組織3に真菌胞子が確認された。動物での慢性型の過敏性肺炎の病態ついてはよくわかっていないが、人で一般的な慢性型の過敏性肺炎を強く疑う犬の症例の事例もあり6,7、ここでは慢性型も含め記述する。

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