犬・猫の呼吸器病

SP06 閉塞性疾患にともなう気管支拡張症

  • 気管支の病気

病態と定義

気管支拡張症は気管支の慢性的な異常な拡張および屈曲により気管支壁を構成する弾性及び筋肉の病理学的破壊と定義されている1。犬では末梢気道疾患で強い気流制限を伴うとき、それよりも中枢側の気道において気管支拡張症が起きる。ここでは気管支肺炎カテゴリーでの気管支拡張症(SP33気管支拡張症)の補足として、記載した。いまだ学術的記述には乏しいが臨床経験にて、人と犬では絶対的に気道サイズが異なるので葉気管支レベルの気管支壁ストレスは異なり、また犬は活発な活動性や開口呼吸頻度が人に比べ多く、人にくらべ単位面積あたりの気流量が多く、その結果葉気管支壁の負担が高くなり、また体格に比べ相対的に葉気管支が太く、この部位に気管支拡張が生じやすいと推測される。この機序は人の気管支拡張の病態で説明される慢性炎症による気管支壁構造の傷害とは異なる。この傾向は超小型犬で多いが、強い気流制限を伴う超小型犬において吸気時にどの程度の気道内圧が生じるか詳細に調査した研究はない。猫などの活動性の低い動物では、気管支壁ストレスが小さいことからこの機序での気管支拡張症は生じにくいと考えられる。

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