L05 気管形成不全
- 気管の病気
病態と定義
気管低形成は気管内腔の直径が先天的に狭小である短頭種に多くみられる病態である1。気管低形成の犬の気管の気管は、その全長にわたって異常な狭窄化がみられる。気管軟骨は輪部が狭まり、見かけ上、背側の膜性壁が欠損している2。ポワズイユの流体力学の法則によれば、わずか10%の気道内径減少によって気道抵抗は56%も増加する。これが呼気相ならびに吸気相における気流抵抗を生じ、両相性努力呼吸となり現れ、長期経過の伴い呼吸筋を疲労させ、呼吸関連組織の損傷や瘢痕化を招き、肺線維症や肺気腫などの終末期変化も起こりうる1。呼吸器症状を呈する本症例は、他の気道の奇形あるいは先天性心血管系の異常を伴う傾向にある1。