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第25回 犬・猫の呼吸器勉強会

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第25回 犬・猫の呼吸器勉強会のご案内

日時: 令和6年4月8日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

血液ガス入門 Part Ⅱ 酸塩基平衡(20分)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

動脈血ガス分析は、酸素化と酸塩基平衡障害を評価し、小動物臨床では唯一、無麻酔で実施可能な呼吸機能の定量的検査であり、呼吸評価のgold standardである。末梢静脈血の血液ガス値はおおまかな酸塩基平衡を把握する目的で主に救急分野で適用されている。肺の機能障害を示す呼吸不全という述語が動脈血酸素分圧 60 mm Hg未満と一義的に定義されるように、肺機能低下は低酸素血症で表現される。血液ガス分析は疾患を特定するものではないが、「肺がいかによく動いているか」という肺機能の包括的指標となる。呼吸器ミニ講義では、血液ガス入門として、呼吸機能と血液ガス、酸塩基平衡、サンプリング、症例の計4回にわたり、基本と適用時の注意事項について講義する。今回は、酸塩基平衡について解説する。

2 研究班報告(BAS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

永久気管開口術の適応と術式、管理、合併症−気管切開ガイドライン作成にむけて−(45分)

福⽥⼤介(⼤樹どうぶつ病院)

永久気管開口術(永久気管切開術)は、さまざまな疾患に起因する上気道閉塞に対しあらゆる治療手段を講じても根治に至らなかった場合、気道確保のための最終手段として選択されることのある術式である。適応疾患かどうか症例をよく吟味し、適切なタイミングで実施されれば、致命的な上気道閉塞に苦しむ動物の救命とQOL改善が見込める。ただし、一度実施すると元の状態に戻すことができないことや、適応症例が限られているため実施する機会が少ないこと、また本邦では犬や猫における気管切開術に関する報告が散発的であることなどの理由で、症例を目の前にしても実施に躊躇してしまう獣医師は少なくないと考えられる。そこで今回、獣医療における永久気管開口術について文献を調査し、適応と術式、管理、合併症についてまとめた。気管切開ガイドラインの作成に向けた議論ができれば幸いである。

3 症例報告・臨床研究  座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

1)喉頭気管分離術を実施したボストンテリアの1例(20分)

稲葉健一(名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニック)

喉頭気管分離術とは誤嚥防止のために実施される術式である。症例はボストンテリア、10歳、雌。来院2ヵ月前よりいびきの増大、睡眠呼吸障害を認め、次第に悪化し傾眠を生じるようになった。内科療法を実施するも状態悪化し、一時的気管切開術にて気道確保したが、気管切開チューブ管理中にも関わらず誤嚥を繰り返した。そこで気道確保および誤嚥防止のため喉頭気管分離術を実施した。分離した喉頭気管断端は気管粘膜と気管軟骨を分離し1輪分の気管軟骨を除去、それぞれ縫合閉鎖し盲端とした。肺側気管は皮膚に縫合し永久気管孔を形成した。術後、呼吸は安定し盲端部の感染などの合併症は生じなかった。残念ながら術後3ヵ月で自宅での気管カニューレ管理不適宜のため突然死したが、それまで良好なQOLを維持できた。犬における喉頭気管分離術の報告はなく、術式について検討すべき点はあるが、犬にも十分適応できる治療法であると考えられた。

2)猫の肺ランゲルハンス細胞組織球症の1例(20分)

三井一鬼(岡山理科大獣医学部形態学講座)、稲葉健一(名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニック)

10歳齢、去勢雄、雑種猫を剖検にて猫の肺ランゲルハンス細胞組織球症(FPLCH)と診断した。患者は約1年前より呼吸困難と食欲低下あり、プレドニゾロンにて一時的に症状緩和していたが、1ヶ月前から呼吸困難の悪化を認めた。胸部x線検査でびまん性細網状影が認められた。在宅酸素療法を実施するも第13病日に自宅にて死亡した。飼い主の同意を得て剖検を行ったところ、肺は虚脱せず、最大径1.5cmに至る大小不同の乳白色の軟性結節が全肺葉に多発していた。組織学的にこれらの結節は軽度の多形性と異型性を示す多数の組織球様細胞によって構成されていた。免疫組織化学により同細胞はIba-1とE-cadherinに陽性、CD3とCD20に陰性で、FPLCHの既報に一致した。本症は、抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞が肺で異常に増殖する疾患で、人の場合は反応性、猫では腫瘍性と考えられている。本疾患は稀少であるが、猫のびまん性肺疾患の鑑別診断として銘記されたい。

演題定数となりましたので募集を打ち切ります。次回の勉強会での演題提出をお願いします。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

連絡事項

  1. 非会員参加の場合、原則として事前申し込みをお願いします。4月1日(月)までに研究会事務局(jimu@verms.or.jp)にご連絡ください
  2. 開場は20:30となります。入室許可手続きがありますので入室自体はお早めにお願いします。
  3. 入室時には、Zoom参加手順の注意事項210804に従い、Zoom-ミーティングに参加する-名前を漢字(例、城下幸仁)に書き換えてから「参加」ボタンを押してください。
  4. 待機室入室後、3分以上たっても承認されない場合、お手数ですが事務局046-256-4351までお電話ください。電話にて承認手続きを行わせていただきます。
  5. 各講演内容は研究会会員にYou Tubeにて限定公開いたします。その中のコメントを介し質疑応答可能です。
  6. 開催中、質問者は円滑な議論のためビデオオンでお願いします。
  7. 閉会後、同一会場にて23:15から歓談や飲食しながら討論会を60分程度設けます。参加や退出のタイミング自由です。症例相談があればデータ提示をお願いします。
  8. 勉強会の講演や議論内容は後日オンデマンド配信するため録画させていただきます。あらかじめご了承ください。演者、座長以外はビデオオフにてご参加ください。

第26回 犬・猫の呼吸器勉強会

日時: 令和6年6月10日(月)19:00−21:00 (開場:18:45)

会場: ユニコムプラザさがみはら ミーティングルーム4 (最寄り駅:小田急線相模大野駅、徒歩3分)

ただしこれまで通りのオンライン開催も同時進行します(ハイブリッド開催)。会場参加定員は20名までとなります。定員を超えた場合、会場外でのオンライン参加をお願いします。

内容

19:00-19:20    呼吸器ミニ講義   座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

血液ガス入門 Part Ⅲ サンプリング(20分)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

19:25-20:10    執行委員企画  座長:菅沼鉄平(ほさか動物病院)、アドバイザー:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

私たちはこのように動脈血ガス分析をおこなっています(45分)
菅沼鉄平(ほさか動物病院)、布川智範(ぬのかわ犬猫病院)、山下智之(上大岡キルシュ動物医療センター)

20:15-20:55    症例報告・臨床研究  座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

1)演題・演者未定 (20分)

2)演題・演者未定 (20分)

演題募集中。2演題(各20分)まで。演題タイトルの締切は5月10日(金)となります。演題名、発表者名、所属を事務局(jimu@verms.or.jp)に連絡ください。発表者は会員である必要がありますが、共同発表者はその限りではありません。募集要項は以下の通りです。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

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