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第24回 犬・猫の呼吸器勉強会

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能登半島地震につきまして被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と一日も早く平常へ戻れますことをお祈り申し上げます。

第24回 犬・猫の呼吸器勉強会のご案内

日時: 令和6年2月12日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

血液ガス入門 Part Ⅰ(20分)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

動脈血ガス分析は、酸素化と酸塩基平衡障害を評価し、小動物臨床では唯一、無麻酔で実施可能な呼吸機能の定量的検査であり、呼吸評価のgold standardである。末梢静脈血の血液ガス値はおおまかな酸塩基平衡を把握する目的で主に救急分野で適用されている。肺の機能障害を示す呼吸不全という述語が動脈血酸素分圧 60 mm Hg未満と一義的に定義されるように、肺機能低下は低酸素血症で表現される。血液ガス分析は疾患を特定するものではないが、「肺がいかによく動いているか」という肺機能の包括的指標となる。呼吸器ミニ講義では、血液ガス入門として、呼吸機能と血液ガス、酸塩基平衡、サンプリング、症例の計4回にわたり、基本と適用時の注意事項について講義する。

2 研究班報告(FDLD班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

猫の間質性肺疾患と縦隔気腫発症、および猫の嚢胞性肺疾患と自然気胸発症との関連についての文献レビュー(45分)

谷口哲也(兵庫ペット医療センター東灘病院、京都動物医療センター呼吸器科、埼玉動物医療センター呼吸器科)

猫の縦隔気腫はびまん性肺疾患においてまれに見られ、特発性縦隔気腫と呼ばれる。特発性縦隔気腫は肺胞破裂によって広義の間質を介して縦隔内に空気が移動することで発生する(macklin effect)。自然気胸の中でも肺疾患に関連した気胸は続発性自然気胸と呼ばれる。続発性自然気胸を発生する気道あるいは肺疾患はいくつか報告されており、気道あるいは肺胞の破裂が胸膜下で発生した場合に気胸となる。過去の報告の中に肺疾患に続発した縦隔気腫および気胸は嚢胞性肺疾患を有する症例がいることが明らかとなった。人医療において間質性肺炎では肺胞の破壊と線維化が起こっており、細気管支より遠位の気道で嚢胞化が起こると報告されている。以上のことから猫の間質性肺疾患に起因した縦隔気腫および気胸は、嚢胞性肺疾患が破裂することで発生すると推測される。両者の違いは胸膜下での嚢胞の破裂は気胸を、肺実質での嚢胞の破裂は縦隔気腫を惹起すると考えられる。

3 症例報告・臨床研究  座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

1)治療経過中に続発性自然気胸を急性発症し救命し得なかった猫のびまん性肺疾患の1例 (20分)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

猫の続発性自然気胸はまれに遭遇するが、犬のように気腫性肺嚢胞破裂が単一原因でなく、間質性肺炎、肺腫瘍、下気道感染症、炎症性気道疾患などと多病態が混在した進行性肺疾患の終末像として生じうる。症例は、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、10歳、去勢雄、体重5.45kg。主訴は2ヶ月前からの慢性呼吸困難、びまん性肺野異常影、運動不耐性。既往症なし。来院時、呼吸数増加(84回/分)を伴った努力呼吸、室内気吸入下でPaO2 46mmHg、胸部X線検査にて複数の嚢胞状陰影を伴った非構造性のびまん性間質影を示した。入院治療5日目に急性気胸発症し救命できなかった。剖検にて左肺後葉内側の嚢胞破裂あり、全肺葉にわたり、猫の特発性肺線維症様疾患に相当する所見、肺腺癌、石灰化した粘液の貯留、肺嚢胞形成、肺胞内に漿液やマクロファージの充満が認められた。他臓器に異常なかった。嚢胞状陰影は猫のびまん性肺疾患の予後不良所見の一つかもしれない。

演題受付を終了しました。次回開催にて演題をお待ちしております。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

連絡事項

  1. 非会員参加の場合、原則として事前申し込みをお願いします。2月5日までに研究会事務局(jimu@verms.or.jp)にご連絡ください
  2. 開場は20:30となります。入室許可手続きがありますので入室自体はお早めにお願いします。
  3. 入室時には、Zoom参加手順の注意事項210804に従い、Zoom-ミーティングに参加する-名前を漢字(例、城下幸仁)に書き換えてから「参加」ボタンを押してください。
  4. 待機室入室後、3分以上たっても承認されない場合、お手数ですが事務局046-256-4351までお電話ください。電話にて承認手続きを行わせていただきます。
  5. 各講演内容は研究会会員にYou Tubeにて限定公開いたします。その中のコメントを介し質疑応答可能です。
  6. 開催中、質問者は円滑な議論のためビデオオンでお願いします。
  7. 閉会後、同一会場にて23:15から歓談や飲食しながら討論会を60分程度設けます。参加や退出のタイミング自由です。症例相談があればデータ提示をお願いします。
  8. 勉強会の講演や議論内容は後日オンデマンド配信するため録画させていただきます。あらかじめご了承ください。演者、座長以外はビデオオフにてご参加ください。

第25回 犬・猫の呼吸器勉強会の予定

日時: 令和6年4月8日(月)21:00−23:00

会場: オンライン開催(予定)

内容

1 呼吸器ミニ講義   座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

血液ガス入門 Part Ⅱ(20分)

城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

2 研究班報告(BAS班)  座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)

永久気管開口術の適応と術式、管理、合併症−気管切開ガイドライン作成にむけて−(20分)

福⽥⼤介(⼤樹どうぶつ病院)

3 症例報告・臨床研究  座長:飯野亮太(いいのペットクリニック)

1)演題・演者未定 (20分)

2)演題・演者未定 (20分)

演題募集中。2演題(各20分)まで。演題タイトルの締切は3月4日(金)となります。演題名、発表者名、所属を事務局(jimu@verms.or.jp)に連絡ください。発表者は会員である必要がありますが、共同発表者はその限りではありません。募集要項は以下の通りです。

1)症例報告:来院経緯、症状の動画データ、身体検査・血液検査・X線検査・透視検査・動脈血ガス分析などの一次検査所見、鑑別疾患リスト、CT検査、気管支鏡検査、鼻鏡検査、BALF解析や病理診断、確定診断、内科治療または外科治療、治療転帰、などの詳細データが全て揃っているもの。2)臨床研究:呼吸器学に関する知見。体裁は自由。他の学会や研究会で未発表ものとする。 1)2)とも発表10分、議論10分で合計20分。1回開催につき、1〜2演題とさせていただきます。演題やスライド資料は当サイト(会員限定コンテンツ内)で公開いたします。

用語や基準は書籍「一般臨床医のための犬と猫の呼吸器疾患」に従います。

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